飛行機のパイロットと聞くと、制服を着てコックピットに座る姿を思い浮かべる人が多いでしょう。そのため、パイロットという仕事はエリートやホワイトカラーのイメージが強いかもしれません。しかし、その日常業務を知ると、パイロットは驚くほど「ブルーカラー」、つまり肉体労働者的な側面があることがわかります。
以下では、その理由を詳しく見てみましょう。
ブルーカラーとは?
工場や建設現場などの生産現場で作業に直接従事する労働者を指す言葉です。作業服の「青い襟(blue collar)」に由来しており、主に肉体労働者を指す言葉として使われますが、技術や資格が必要な技能系の仕事も含まれます。
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ブルーカラーの簡単な説明は↑の通りです。「生産現場で作業に直接従事する労働者を指す言葉」がポイントですね。航空会社では飛行機を飛ばすことが「生産」であり、コクピットが「現場」であると捉えれば、やはりパイロットはブルーカラー的な側面があると言えるかと思います。
これを前提にもう少しみてみましょう。
同じことの繰り返し
実はパイロットの仕事は、見た目ほど変化に富んだものではありません。
毎日のフライトでこなすのは、厳密に決められた手順の繰り返しであり、決められた流れに沿って行動し、安全を確保することが最優先されます。機体の点検、離陸・着陸、、、多くのことがチェックリストに基づいて実施されます。
「今日はこれを、明日はあれを」といった変化はほとんどなく、乱暴に言ってしまえばクリエイティビティを発揮することは良しとはされません。決められた共通の方式・やり方でコクピット内の二人で業務に当たる訳ですから、クリエイティビティを発揮して、突然やり方を変えられたら困る訳です。
つまり、毎回同じ手順を繰り返し、その精度や完成度を高めることに喜びを感じることができる人が、この仕事に向いていると言えるでしょう。
深夜に働く
パイロットの勤務時間は不規則です。深夜や早朝に働くことも多くあります。国際線に乗務するパイロットであれば深夜早朝に働きつつ、時差の問題も抱えることになります。
時差の関係で体内時計が狂いやすく、短期間に何度もタイムゾーンをまたいで仕事をする場合、身体が順応するのに時間がかかり、体調管理が難しくなる場合もあります。
家族や友人との時間を調整するのも難しく、仕事のスケジュールに自分の生活を合わせる必要があります。
時間あたり賃金はそこまで高くない
パイロットの賃金は一見すると高く見えるかもしれませんが、労働時間全体を考えると時間あたりの賃金はそこまで高くありません。フライト時間だけではなく、準備時間や待機時間も含まれますし、勤務時間が長くなることもしばしばです。
また、パイロットになるまでの訓練や資格取得には莫大な費用がかかります。最初の数年はその投資を回収する段階にあり、給料が思ったほど高くないこともしばしばです。
肉体的・精神的なストレス
パイロットの仕事は、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。
長時間同じ姿勢で座り続けることは、腰や肩に負担をかけます。悪天候や機器のトラブルが起きた際には、瞬時に正しい判断を下す必要があり、高い集中力が求められ、精神的なプレッシャーがかかります。
さらに、定期的に厳しい健康診断をクリアしなければならず、少しの不調がキャリアに影響を及ぼす可能性があります。こうした点でも、他のブルーカラー職と共通する「身体と心の強さ」が求められます。
まとめ
- 同じことの繰り返し
- 深夜早朝勤務
- 時間あたり賃金
- 肉体的、身体的負荷の大きさ
これらの特徴を鑑みると、パイロットはブルーカラー的な側面がやはりあるように思えます。皆さんはどのように感じるでしょうか。
パイロットはエリートで華やかな仕事と思われがちですが、その実態は、肉体労働や不規則な勤務時間、ストレスと隣り合わせの職業です。これからパイロットを目指そうという方には、この現実も踏まえた上で、飛行機を操縦する仕事の魅力について考えてみて頂ければ良い決断が出来るのではないかと思います。