covid19-bankrupt

コロナ不況で倒産した世界の航空会社まとめ【随時更新】

covid19-bankrupt

便宜上「コロナ不況」としていますが、多くの航空会社は、複合的な影響を長期に渡って受け、結果的に倒産しているということを承知頂きますようお願いします。具体的には、ロールスロイスエンジンの不具合だったり、B737MAXの運航停止だったり、競争の過激化だったり、様々です。

今のところは、「新型コロナウイルス」の影響だけで倒産したと言える航空会社は少ないと言えるでしょう。息の根を完全に止めたのが「新型コロナウイルス」という印象です。

当ページは、新型コロナウイルスが収束するまで継続的に更新していく予定です。

  1. 倒産したエアライン名
  2. 基本情報一言
  3. 報道機関によるニュースのリンク先

上記3点を簡潔にまとめます。見返した際に分かりやすいように報道が発表された月についても付記しています。倒産した世界の航空会社を知ることで、世界の航空業界の現状を浅く広く掴みましょう。

Advertisement

基本的な用語

本題に入る前に基本的な用語についてまとめておきます。

フラッグ・キャリア

国策のもとで国際線を運航する航空会社

フラッグキャリアとは|ena(イーナ)の海外旅行用語集

国を代表して国際線を運航している航空会社です。日本では長年、JAL(日本航空)がフラッグ・キャリアとして運航してきましたが、2016年にANA(全日空)が名実ともにフラッグ・キャリアとなりました

倒産(経営破綻)

倒産の定義 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

「倒産」という言葉は、法律用語ではありません。一般的には「企業経営が行き詰まり、弁済しなければならない債務が弁済できなくなった状態」を指します。

法的な定義は無いようです業績不振によって債務返済不可となり、事業を継続できない状態を言います。

上記リンク先の帝国データバンクにかなり詳しく載っていますので、興味がある方は参照してください。当記事では、倒産・経営破綻を一緒くたにしています。見るに当たっては、それぞれが何となく持っている「倒産(経営破綻)」のイメージで読み進めて問題ないはずです。

倒産した世界の航空会社一覧

それでは本題に行きましょう。

時系列順に新しいものが上に来ています。事業規模が小さい航空会社については、記載を割愛しております。一覧に記載されていない航空会社でリストに加えるべきものがあれば、コメントでお伝え頂ければ幸いです。

モンテネグロ航空(Montenegro Airlines)

2021年1月報道。

モンテネグロ(ヨーロッパです)の航空会社でフラッグ・キャリア。機材はエンブラエルとフォッカー。長年に渡り、脆弱な財務基盤が改善しなかったようです。ヨーロッパの観光地としては有名な場所のようですが、国土が小さく、フラッグキャリアとして事業運営していくのがそもそも難しかったのかも知れません。

These moves follow the decision by the country’s government to shut down its national airline and flag carrier of 26 years, Montenegro Airlines

Montenegro Airlines Collapse Brings New Carriers To Podgorica – Simple Flying

これを受けて、モンテネグロへ就航している他のエアラインが座席供給数を増やすようです。

キャセイドラゴン航空(Cathay Dragon)

2020年10月報道。

5月頃から「ドラゴン」ブランドの廃止が検討されていました。それが現実となりました。ブランドの廃止なので、当ページでまとめている倒産したエアラインとは少し状況が違うかも知れません。ブランドの廃止に伴い、路線の大部分はキャセイ本体と傘下LCCに移管されるようです。

キャセイ、「ドラゴン」の運航停止 5900人削減へ―香港:時事ドットコム

エアアジア・ジャパン(Air Asia Japan)

2020年9月報道。

29日までに関係機関に方針を伝えた。

速報では会社による正式な発表は確認出来ませんが、報道の中で上記の様に伝えられていますので、確度の高い情報と思われます(関係機関=航空行政に関わる機関と理解しています)。

元々、エアアジア・ジャパンは日本参入にあたり紆余曲折がありました。記憶に新しいです。その後のスタートも本国マレーシアの様に順調には行かなかったようです。色々な課題を抱えていたようですが、遂に日本の航空業界にも来てしまいました。

【独自】エアアジア・ジャパン、事業断念へ…コロナ禍で経営悪化 : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン

その後、正式な発表が出ました。12月5日付けで全4路線を廃止するとのことです。

エアアジアが12月に日本撤退 国内航空、コロナ禍で初

アエロメヒコ航空(Aeroméxico)

2020年7月、報道。

メキシコの航空会社でフラッグ・キャリア。スカイチーム設立メンバーの一社。毎日400便近くを運航していた。ボーイング系の機材を約70機保有。運航は継続。新型コロナウイルスへ対応していくための方策として実施。

The carrier will “continue operating and use Chapter 11 as a way to strengthen its financial position and liquidity,” according to a statement to the Mexican stock exchange Tuesday. Aeromexico said the goal will be “protecting and preserving its operations and assets and implementing the necessary operational adjustments to face Covid-19-related impact.”

Aeromexico Files for Chapter 11 Bankruptcy Protection on Virus

Aeromexico files for bankruptcy | Flight Global

ノックスクート

2020年6月、報道。

タイの格安航空会社(LCC)。タイの格安航空会社ノックエアとシンガポールの格安航空会社スクートの共同で設立された。タイ、バンコクから成田・関空・新千歳への路線が存在した。経営不振等により清算。事業は終了。

タイLCCノックスクートが清算手続き 従業員は解雇

LATAM航空

2020年5月、報道。

チリの航空会社でフラッグ・キャリア。元ワンワールドメンバー。南米で最大規模の航空グループのLATAMグループの航空会社。世界で唯一、イースター島への路線を持つ。今後も運航は継続。再建をめざす。

中南米最大手LATAM航空が破綻、米チャプター11の適用を申請、再生プロセスのもと運航は継続 | トラベルボイス

タイ国際航空

2020年5月、報道。

タイの航空会社でフラッグ・キャリア。スターアライアンスメンバー。南アフリカ航空、アビアンカ航空に続くフラッグ・キャリアの経営破綻。長年の経営不振にコロナ不況がトドメの一撃を食らわせる格好になった。運行は継続予定。フライトの運航と事業は継続。経営再建を目指す。

タイ国際航空、経営破綻もフライトは継続 |  DIGIMA NEWS

タイ航空が経営破綻した、「自業自得」の理由とは | ダイヤモンド・オンライン

アビアンカ航空(AVIANCA)

2020年5月、報道。

コロンビアの航空会社でフラッグ・キャリア。世界有数の歴史を持つ航空会社で、エアバスからボーイングまで多様な機材を100機近く保有する。南アフリカ航空に続くフラッグキャリアの経営破綻。

中南米航空大手アビアンカ、破産申請 新型コロナで:日本経済新聞

ノルウェー・エアシャトル(Norwegian Air Shuttle)

2020年4月、報道。

ノルウェーの格安航空会社(LCC)。ノルウェー・エアシャトル(Norwegian Air Shuttle)自体は存続するのでしょう。機体は会社で保有しておき、再起のタイミングを図るということでしょうか。詳細は分かりません。

操縦士や客室乗務員の管理などを手掛けるスウェーデンとデンマークの傘下4法人が破産

ノルウェーLCC、傘下法人が破産申請 北欧2カ国で:日本経済新聞

南アフリカ航空(South African Airways)

2020年4月、報道。

南アフリカ共和国の航空会社でフラッグ・キャリア。エアバス機を50機保有。

The coronavirus may prove the final nail in the coffin for SAA, which was reducing routes and considering job cuts even before the outbreak forced airlines around the world to ground airplanes. The industry could lose $314 billion in ticket sales this year, according to the International Air Transport Association, as lockdowns and travel bans take an increasingly heavy toll on the global economy.

COVID-19: South African Airways nears collapse with plan to fire all staff | Aviation – Gulf News

ヴァージン・オーストラリア(Virgin Australia)

2020年4月、報道。

オーストラリア第二の規模を誇る航空会社。現在、中国資本により買収が検討されている。

豪ヴァージン・オーストラリア航空が任意管理手続きに、政府の支援得られず – BBCニュース

トランス・ステイツ航空(Trans States Airlines)

2020年3月、報道。

ミズーリ州に拠点を置く、アメリカのリージョナルエアライン(地域航空会社)。三菱スペースジェットのキャンセルの報道が記憶に新しい。

Trans States Airlines: The first US airline victim of COVID-19 – PaxEx.Aero

コンパス・エアラインズ(Compass Airlines)

2020年3月、報道。

ミネソタ州に拠点を置く、アメリカのリージョナルエアライン(地域航空会社)。

Compass Airlines is second US carrier to shut down amid coronavirus crisis

Flybe

2020年3月、報道。

イギリスのリージョナルエアライン(地域航空会社)。ヨーロッパで最大の路線数を持つリージョナルエアラインの一つで、ロンドン証券取引所への上場もしていた。

Collapsed Flybe tells passengers not to travel to airports – BBC News

アトラスグローバル (AtlasGlobal)

2020年2月、報道。

トルコの航空会社。テロ等の影響で以前から経営が悪化していた。

<新興国eye>トルコ航空アトラスグローバル、破産法の適用申請―航空当局

エア・イタリー(Air Italy)

2020年2月、報道。

イタリアの航空会社。欧州エリアの熾烈な価格競争により経営悪化。

CNN.co.jp : 伊エア・イタリー、清算決断で運航を停止

最後に

航空業界は新型コロナウイルスの影響を最も大きく受けている業界の一つです。コロナ前の状態に戻るまでの期間・コロナによる業界全体の損失など、様々な試算が報道されています。

考察や試算も重要であることに違いはありませんが、まずは身の回りの沢山の「事実」を整理して把握しましょう。

エアラインが今までに経験してきたイベントリスク(過去のリーマンショックや今回のコロナなど)を通じて、過去の事実を知ることも、これからを考える上で重要になるはずです。

関連記事

新型コロナウイルスの影響、続きますね。特に、航空業界を目指している方々は心が休まる機会が少なくなってきているのではないでしょうか。それは「分からない」からだと思うんですね。現在と過去が把握出来ないから、現状が分からない、そして不安に[…]

event-risk