指定航空従事者養成施設、一般には指定養成施設と呼ばれます。国土交通省が公開する「指定航空従事者養成施設について」という資料中では以下のように定義されています。
指定航空従事者養成施設(以下「指定養成施設」という。)とは、航空法施行規則に定められた技術基準に適合し、国土交通大臣から指定を受けた操縦士等の養成施設であり、その課程を修了した者に対しては、国による実地試験の全部又は一部を行わないことができるとされております。
つまり、認可を受けた施設であれば優遇措置が受けられるということです。認可を受けるための基準は、教官の数や教育内容で定められており、取得・維持するのは簡単ではないようです。
指定航空従事者養成施設(以下、指定養成施設)の指定の基準の詳細は「航空法施行 第五十条の四 航空従事者の養成施設の指定の基準」をご覧下さい。
指定養成施設の基本的な定義が分かった所で、詳しく見ていきましょう。
国内の指定養成施設にはどんな施設があるの?
これから始めようとしている訓練生が気になるのはここですね。
国土交通省の最新の資料(2022年09月現在)によると下記の施設が、指定養成施設として認可されていることが確認出来ます。
ただ、最新と言っても平成27年度のものとなっています。あくまで国土交通省公式の最新の資料によると、上記のようになっているだけで、実際は幾つか新しい民間訓練校が指定養成施設として認可を受けているようです。
例えば「ヒラタ学園」が計器飛行証明のみ指定養成施設として新しく認可を受けたと聞いていますが、公式の情報としては確認しておりません。
〜「匿名希望様」から情報提供頂き記事の内容を更新致しました。コメントありがとうございました。〜
国土交通省の公式情報が約5年ぶりの更新となりました。前回の2017年から比較して、「ヒラタ学園」並びに「岡山航空」が計器飛行証明の教育課程において指定養成施設の認可を新しく受けていることが確認出来ます。
新しく追加された2つの民間訓練施設(フライトスクール)は今の所、計器飛行証明のみ指定養成施設を取得しています。大学系の訓練受託の兼ね合いも絡んで、この流れで事業用も認可を取得するのかも知れませんね。
最後に、参考までに2017年の国土交通省公式資料を引用して掲載させていただきます(旧情報)。
指定養成施設のメリットは?
基本的に訓練生にはメリットしかありません。以下に大きなメリットを紹介しました。
試験官を待つ必要が無くなる
技能審査員が一定数以上在籍していることが、指定養成施設として認可される際の条件の一つとして設定されています。ですので、いざ実地試験(実技試験)を受けようと思った際に国土交通省航空局の技能審査員(試験官)を呼ぶ必要がありません。
指定養成施設の認可を受けていない施設ではこうはいきません。実地試験(実技試験)を受けようと思ったら国土交通省航空局の技能審査員(試験官)を呼んで技能を見てもらう必要があるため、日程に空きが無ければ希望の試験日程がずれることになります。
結果、指定養成施設の認可を受けていない施設で訓練する場合は、技量維持のために余分に飛ぶ確率が高くなります。
実際に訓練を始めれば分かりますが、「試験官を待たなくて良い」ことは、とても大きなメリットです。
各試験の受験要件が緩和される
自家用操縦士、事業用操縦士、それぞれの操縦技能証明に対して実地試験を受けるための最低受験要件が定められています。
例えば、「総飛行時間〇〇時間を有するもの」と言った具合です。
この最低受験要件が指定養成施設で訓練をした場合緩和されます。具体的には200時間が150時間になったりなどです。詳細は航空法施行規則別表第二をご覧ください。
指定養成施設のデメリットは?
敢えて挙げるとすると、必然的にフェイル(クビ)が出てくることです。指定養成施設では決められた期間に決められた結果を出すことを前提に認可されているので、決められた期間に決められた結果を出すことが出来なければフェイル(クビ)となります。
ただ、これはプロのパイロットを目指す以上、というよりも、まともな大人として生きる以上当然のことなので、デメリットというほどのものではありません。
まとめ
国内の訓練施設をどこでも選び放題という前提の方が居るならば、指定養成施設として認可を受けている施設を選ぶことをオススメします。