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フレックストラベラー制度の現状と航空会社毎の対応

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フレックストラベラー制度とは?

ご予約をお持ちのお客様の数が座席数を上回り、座席が不足した場合、当該便を予約済みのお客様の中から、ANAが提示する協力金額および代替交通手段に同意され、自主的に便の変更等についてご了承いただける方を募り、ご協力いただいたお客様に対して、協力金のお支払いおよび代替交通手段の提供を行う制度です。

ANA HPより引用

つまりは、航空会社からお金と代替交通手段を提供してもらう代わりに乗ろうとしている飛行機を諦めることですね。

何故フレックストラベラー制度があるのか?

航空会社は利益を最大化するために、収容人数を超える顧客の予約を受け付けています。いわゆるオーバーブッキングです。航空会社に限らず、収容人数が限られた施設を用いて事業を行うビジネスでは普通です。例えば、ホテル等の宿泊施設でも行われています。

色々な理由はあるにせよ、一番の目的は「経済的合理性」。つまり、「もっと儲けるため」です。一方で「倫理的な問題」もあります。以下の動画が良くまとまっていますので、ご覧ください。

「もっと儲けたい」けど「倫理的な問題」も孕んでいるのが、オーバーブッキング、つまり、フレックストラベラー制度言えます。

フレックストラベラー制度(オーバーブッキング)の統計的なデータを確認・比較することで、それぞれの航空会社が「儲け」と「倫理」のどちらに重きを置いた選択をしているのかが少しは分かるのではないかというのが、この記事の出発点です。

それでは、航空会社別のフレックストラベラー制度の状況を見ていきましょう。

航空会社別のフレックストラベラー制度の状況

航空局では、航空事業者間の競争状況を確認するとともに、航空利用者による自由かつ的確な航空輸送サービスの選択に資するよう、事業運営状況に係る透明性を高める観点から、定期的に航空輸送サービスに係る情報公開を実施しております。

上記の通り、国土交通省では四半期ごとに航空輸送サービスに係る情報公開しています。その中に今回取り上げている「フレックストラベラー制度」に関する統計データがあります。当然、「フレックストラベラー制度」が設定されている航空会社のデータしか統計には反映されていません。

フレックストラベラー制度に関する情報(航空局統計資料)

統計データをザッと見てみると、日本航空の資本が入っている航空会社は全体的にオーバーブッキングを控えめに行っているであろうことが分かります。特にリゾート路線を運航しているJTA、インフラとしての役割が大きいHAC、RACではオーバーブッキングはゼロとなっています。

反対に全日本空輸の資本が入っている航空会社は、前述の日本航空の資本が入っている航空会社と比較して、全体的にオーバーブッキングを強気でしていることが分かります。全輸送人員に対する不足座席数の割合が最も多いのがエアドゥというのは驚きです。もしかすると、他の路線と比較して大きく振れる変数があり、このようになっているのかも知れません。

こうして、統計データを見てみると面白い位に日本航空グループと全日本空輸グループの事業運営の哲学が見えてくる気がします。前述の「儲け」と「倫理」どちらを取るか。そういうことですね。

一方で注意しなければならないのは「不足座席数が多い=オーバーブッキングが多い」は成り立ちますが「オーバーブッキングが多い=オーバーブッキングが無い場合よりも儲けている」ということには必ずしもならないということです。冒頭の動画を見て頂ければ分かりますが、「オーバーブッキングが最適化されている場合」にのみ「より儲かっている」状態になります

ですので、この統計データだけでは、「儲け」と「倫理」のどちらを取っているか・取れているかはハッキリとは分かりません。しかし、傾向と事業運営に対する姿勢は分かる気がします。

余談ですが、世界一の航空大国のアメリカの航空会社の統計データと比較すると、日本の航空会社の一万人辺りの不足座席数の割合はかわいいもんです(興味がある人は調べてみて)。

航空会社毎のフレックストラベラー制度の対応

各航空会社のリンクを下記にまとめました。必要な方はご覧下さい。なお、LCCでフレックストラベラー制度を設定している航空会社はありませんでした。

公式に公開されている情報的には、フレックストラベラー制度の対応は各社横並びになっており、次の通りです。

  • 当日便への振替:協力金1万円(または7500マイル)+諸々
  • 翌日以降の便への振替:協力金2万円(または15000マイル)+諸々

諸々の詳細の部分が気になる方は各リンク先でご覧下さい。

考察(まとめ)

  • ストレスフリーで飛行機に乗れる確率を上げたいなら日本航空グループ
  • フレックストラベラー制度を使ってみたいなら全日本空輸グループ

ということでいかがでしょうか。ただし、そもそもの不足座席数の割合が小さいので、普通に使用する上で実感出来るほどの差はないはずです。

そりゃそうですよね。普通に飛行機乗ってて、そんなしょっちゅう「今日は乗れません」って言われたら誰も乗らなくなりますからね。

調べてみれば分かりますが、この分野はアカデミックな分野でも数式などを駆使して研究されています。数式の変数や方程式が分かればフレックストラベラー制度で小銭を稼ぐことも出来るかも知れません。路線・季節などなどを徹底的に研究する必要があると思いますけど・・・(違うとこに力使った方がお金になりそう笑)。

ご興味がある方は是非!また、フレックストラベラー制度の体験談がある方はコメントをお待ちしております!