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パイロットに英語力は必要か。それは場合によると思う。

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パイロットに英語は必要なのでしょうか。必要ならば、なぜ必要になるのでしょうか。

こんな風に考えて当ページに辿り着いた方が殆どのはずです。そして、きっとあなたは英語が苦手なはずです。「英語が苦手だからパイロットになる夢に二の足を踏んでいる」なんて方も居るかも知れません。

私も純日本人で英語には苦労した(している)ので、気持ちは分かります。

そんなわけで、当ページでは以下の二点を中心にお届けします。

  1. パイロットが英語を使う場面
  2. パイロットとして英語力が必要かどうか

なお、いずれも日本人が日本でパイロットとして働くことを前提としています。

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英語力って何だろう?

色々な考え方があるとは思いますが、当ページでは「パイロットとしての英語力」を以下のように考えています。

「事前に把握出来ない状況において、英語しか使えない環境で、英語を使用して、パイロットとして適切に業務を遂行したり、コミニュケーションが出来る」

少しややこしいですが、こんな感じです。平たく言えば「シナリオが無い状況で英語だけを使用して上手く対応出来るか」、そんな感じです。

以下の「パイロットとしての英語力」は全てこれを指すものとします。

パイロットが英語を使うのはどんな時?

  1. ATC(航空無線)での意思疎通
  2. 機内でお客さんに向かってのアナウンス
  3. 日本語を話さないクルーとの乗務及びハンガートーク

パイロットが業務を通じて英語を使う場面は、3つに大別出来ます。パイロットが使う実際の英語【航空無線・アナウンス・ハンガートーク】では具体例を交えて紹介しています。

※ マニュアル類の理解も具体的なシーンとして頭に浮かびましたが、日本国内で日本人パイロットとして飛ぶ場合は殆どの場合は日本語のマニュアルが用意されているようなので割愛しました。飛行中の操作についても、もはや日本語みたいなものなので割愛しています。

ATC(航空無線)での意思疎通

管制用語(以下「用語」という。)は、日本語又は英語を使用するものとする。ただし、無線電話においては原則として英語を使用するものとする。

管制方式基準 (I)-2-1

「航空管制官が管制業務を実施するにあたって準拠すべき事項」を定めた管制方式基準という資料があります。これによると、無線電話は原則として英語を使用するとありますが、禁止はされていません。

更に言えばATCで使用される英語は厳密には「航空英語」です。「航空英語」は「英語」とは別物と考えておりまして、例えるなら殆どの場合は手信号のようなものです。決まったフレーズと応答でやりとりされます。

メジャーエアラインが就航するような大きな空港では、交通流がシッカリと整理されているため、外国に行っても「航空英語」から逸脱することは少ないと聞いています。

機内でお客さんに向かってのアナウンス

外国人客が少ない場合や時間が短い路線の場合は、第二言語によるアナウンスを実施しない所もあるでしょう。

乗客として乗っていると、LCCでは機長や副操縦士からの第一言語のアナウンスも少ないように思います。短距離路線を小型機で他頻度で飛ばすモデルとなっていることが背景にあるのかも知れません。

日本語を話さないクルーとの乗務及びハンガートーク

日本国内でフライトする場合は、外国人機長を採用している幾つかのエアラインを除き、外国人パイロットとフライトをすることはほぼないでしょう。

外国人機長が多めに在籍する(と言っても全体の10%程度らしい)エアラインとしては、①ピーチ・アビエーション②スカイマーク③ジェットスター辺りが挙げられます。いずれもLCCです。

ざっと見てみると、日本人が日本のエアラインでパイロットとしてフライトする場合は、英語がどうしても必要と言う場合は非常に少なそうです。

「パイロットに英語力」が必要か

航空機を使用する事業は以下の通り分類出来ます。

※ ビジネスジェットは日本では殆ど数が無いため割愛しています。

  1. 航空会社(エアライン)
    1. メジャー(いわゆる大手)
    2. LCC
    3. リージョナル
  2. 使用事業(エアライン以外。フライトスクールや宣伝飛行などなど)

それぞれの事業でパイロットとして業務を遂行することを考えると、先程の「パイロットが英語を使用する時」から外れる場合は少ないです。

つまり、具体的に「パイロットとしての英語力」が必要となるのは以下のようなシーンが考えられます。

  1. 外国の空で緊急事態に見舞われた時
  2. 外国人のクルーと一緒に飛ぶ時

結論としては、外国の空も飛ばなければ、外国人のクルーと一緒に飛ばない場合は「パイロットとしての英語力」は不要となるはずです。日本国内で飛んでいるなら、緊急事態が発生した場合は日本語が使用出来ますからね。

逆に、外国の空を飛び、かつ、外国人のクルーと一緒に飛ぶ場合は「パイロットとしての英語力」が絶対に必要になります。特に英語力が必要となるのは、外国人のクルーと一緒に飛ぶ場合でしょう

こんな背景があり、外国人のクルーと飛ぶことがほぼない日本のエアラインの日本人のパイロットからは「英語力」は業務上、特に必要ないと言われることがあるのかも知れません。

最後に

日本人として日本のエアラインでパイロットを目指すのなら「英語力」の優先順位は低いです。これは間違いありません。

自分が目指すパイロット像は「英語力を持っているか持っていないか」、この辺りを基準に、パイロットとして英語力向上に取り組むかどうかを決めれば良いと思います。

月並みですけど、私は英語力のあるパイロットの方が格好良いなぁと思っています。なので、英語力を磨いています。趣味ですね。

同じような趣味を持ち、英語力向上に取り組みたい方は「パイロット訓練生のための英会話教室と活用法【お金が無くてもOK】」も併せてご覧ください。パイロットとしての英語力を考える上で参考になれば幸いです。

パイロットの英語に関してまとめたページも併せて御覧ください。