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プロペラ効果を総復習【Pファクター・トルクの反作用など全部解説】

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当サイト、実は、これから訓練を始めようとしている学生や社会人の方々に沢山見ていただいています。自分も数年前はその一人だった訳で、当時はパイロットの訓練を始めたらどんなことをするのか想像も出来ませんでした。

また、訓練を進めていくと「基本中の基本」について改めて復習する機会も減っていきます。

そこで、「プロペラ効果」について改めて復習してみようじゃないか。というのが今回の趣旨です。

これから訓練を始めようとしている学生や社会人の方々はこれからどんなことを学習するのか想像して頂けますし、既に訓練を始めている人は基本中の基本について改めて復習する機会になるはずです。

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プロペラ効果の概要

飛行機には沢山の種類があります。

プロのパイロットを目指す方が、必ず一度は乗ることになるのがプロペラの付いた飛行機。つまり、推進力をプロペラを回すことで得ている飛行機です。プロペラ機とか呼ばれます。

プロペラ機では、プロペラを回すことによって様々な影響が機体に及びます。

これらを総称して「プロペラ効果」と呼び、プロペラ効果には4種類があります。

  1. Asymmetrical Thrust(Pファクター)
  2. Torque(トルクの反作用)
  3. Gyroscopic Precession(ジャイロ効果)
  4. Spiraling Slipstream(プロペラ後流)

動画でも分かりやすく説明されていますが、一つずつ見ていきましょう。

Pファクター

ザックリ理解するには英語のままが分かりやすいです。“Asymmetrical Thrust”、つまり、Pファクターとは左右非対称の推進力のことを指します。

順を追って、一般的な2枚のプロペラで話を進めてみましょう。

  1. プロペラの半回転を考える
  2. 下に下がる方向に回転するプロペラもあれば、上に上がる方向に回転するプロペラもある
  3. プロペラには推力(進行方向の軸に関する揚力)を生み出せるようにねじりが加えてある

以上から、下に下がる方向に回転するプロペラと、上に上がる方向に回転するプロペラが作り出す推力に差が生まれる(ねじりのせいで)ことが分かります。これがPファクターの正体です。

ね、英語の“Asymmetrical Thrust” のまま理解した方が分かりやすいでしょ。

Pファクターの効果が顕著に現れるのは飛行機の姿勢が変わった時。つまり、上昇や降下をする時です。飛行機の迎え角が変わるのもちろんのこと、プロペラの迎え角も変わる為です。

トルクの反作用

プロペラは回っています。プロペラが回ると、機体にはプロペラが回る方向とは逆側に回転させられる力が働きます。これがトルクの反作用です。

「作用反作用の法則」、「運動の第三法則」、「ニュートンの第三法則」などと呼ばれるもので直感的にも比較的理解しやすいです。

プロペラ機に乗っていてトルクの反作用を感じ易いのは、プロペラの回転数を低出力から高出力に上げた時(逆も)、つまりパワーをコントロールした時です。具体的なシチュエーションで考えると場周経路を回っている時に形態を変化させようとパワーを大きくコントロールする時なんかです。

プロペラ機では、パワーをコントロールすると必ず機体はどちらかに回転しようとします。低出力から高出力に変化させた時、プロペラが右回転なら左に回転しようとしますし、左回転なら右に回転しようとます。

ジャイロ効果

「力を加えた方向から90˚進んだ位置に力が作用する」こと、これをジャイロ効果と呼びます。自転運動をすると姿勢を乱されにくくなる現象と考えればOKです。

少しややこしいやつですが、動画で見ると簡単に理解できます。

飛行機の計器にもジャイロ効果を活用したものが少なくありません。

姿勢指示器、方向指示器、旋回計などです。

いずれもパイロットとしては避けては通れない計器であり、ジャイロ効果を知らずに飛行機のパイロットになることは不可能です(多分)。

プロペラ後流

こちらも動画でイメージを掴むと分かりやすいです。

順を追って説明するとこんな感じです。

  1. プロペラが回転すると周りの空気も一緒に回されて渦を作る
  2. 飛行機は進んでいるので、「回された空気の渦」はその場に置いていかれる(飛行機の進行方向とは逆側へと進む)
  3. 水平尾翼と垂直尾翼に「置き去りにされた空気の渦」が当たる
  4. 右周りのプロペラなら「右回りの空気の渦の影響」を、左回りのプロペラなら「左回りの空気の渦の影響」を受ける

動画の通り、空気の渦を視覚化して考えてしまえば分かりやすいですね。

最後に

プロペラ効果を知ると、プロペラ機を飛ばすことが非常に難しく感じられます。実際難しいです。

しかし、実際の機体(特に訓練に使用する練習機)は、色々なことが考えられて素晴らしい「安定性」を有するものが殆どです。
※ 多少変なことをしても簡単に危険な状態にはならないように作られてるということです

左右の主翼に同じ出力のエンジンを同じ数だけ付け、左右で回転方向を逆にし、プロペラ効果を相殺するような双発機も存在します。

なので、これから訓練を始めようとしている学生や社会人の方々も心配する必要はありませんよ!

ご指摘・ご質問お待ちしてます。